漢方薬剤師とは、漢方薬・生薬の専門的知識と適切な漢方の処方・調剤ができるスキルを持った薬剤師を指します。
漢方薬は幅広い症状や体質に対応できる薬として需要が高いため、漢方の膨大な専門知識を持つ漢方薬剤師は重宝される人財です。 本記事では、漢方薬剤師としてのおもな業務内容と漢方に関する資格を紹介します。
漢方薬剤師のおもな業務内容
一般的な薬剤師は、医師からの処方箋に基づく調剤がおもな業務ですが、漢方薬剤師は患者さんからヒアリングを行ない、症状に合う漢方薬の処方から担うことが特徴的です。
おもに化学合成によって作られた西洋薬と違い、漢方薬は動植物や鉱物など、膨大な種類におよぶ自然由来の原料を使っています。症状や各患者さんの体力・体質に合わせて、数多ある漢方から適切な組み合わせを考え、処方・調剤していくのが漢方薬剤師の仕事です。
漢方薬剤師は治療の中心的役割となるため、より責任ある立場で患者さんと向き合わなければいけません。
勤務先は調剤薬局やドラッグストアのほか、漢方を専門に取り扱う「漢方薬局」や漢方の研究を行なう「漢方メーカー」などの選択肢があります。
漢方薬剤師にまつわる資格
漢方薬剤師として働くうえで有利となる資格に、公益財団法人の日本薬剤師研修センターが実施している「漢方薬・生薬認定薬剤師制度」があります。薬剤師免許の取得者を受験対象にしており、漢方薬・生薬の専門的スキルを持つ薬剤師として証明できる資格です。
認定を受けるには、日本薬剤師研修センターと日本生薬学会が行なっている研修を受け、試問に合格しなければなりません。
漢方薬・生薬認定薬剤師の認定を受けたあと、3年ごとの更新が求められます。更新までの3年間に漢方薬・生薬に関する研修を受け、30単位以上を取得した場合に更新することが可能です。
2023年度の漢方薬・生薬認定薬剤師合格者は414人となっています。認定要件に薬剤師の勤務歴などの制限はないため、わりと取得しやすい資格といえます。
まとめ
健康寿命が延びてセルフメディケーションへの関心も高まっている昨今、漢方・生薬は「未病」に対しても効果があるとして注目が集まっています。未病は病名が付かないような軽い不調を指し、病気予防の観点から未病のケアも重要視されています。
今後も需要が見込まれる漢方を詳しく学ぶことで、対応できる仕事の幅が広がり、薬剤師としての自信にもつながるでしょう。